ドンちゃんとのお別れ Adios Amigo. 

悲しみは、寄せては返す波のように何度もくるけど、彼の最期は、これ以上にないと思えるほど良い別れ方ができたので、思ったよりも早く、少しだけ心に余裕ができたように感じます。
 
 
当日の状況をお伝えしますね。
  
 
 その日はエバカップに出場するために、いつもより早くに牧場に行きました。
 
馬たちには、いつもより早めの朝ごはんをあげ、10時の開会式までに間に合うように8時過ぎには牧場を出発してエバーグリーンに向かいました。
 
一時間ほどのドライブでエバーグリーンに着き、いつも使わせてもらっている放牧場で馬たちは朝ごはんの続き。
 
ウエスタン競技は午後からで、今回エントリーしたのは、トレイルでドンちゃん&CK-chan、ストックシートメダルとレイニングではドンちゃん&ルカ、ダニー&長女。
 
第一競技はトレイルで、その前に馬場解放が20分あったので、準備運動をしたり、ログの準備が整ってからはパターンの練習も少しできました。
 
トレイルが終わると、次はストックシートなので、CK-chanはルカと乗り代わりました。
  
昨年のエバカップのレイニングでは、暴走気味に走られてしまったので、7月に八ヶ岳で行われるユースワールドカップ予選を見すえて、今回はしっかりと抑えきることを念頭に挑みました。
 
ストックシートが終わったあと、馬場のすぐ脇にある木陰て休ませながら、他の人の競技を見ていた時に、ドンちゃんが、おしっこをする時のような変な立ち方を2度ほど見せたのですが、オシッコは出ませんでした。
 
普段、馬房のチップの上以外ではおしっこをしたがらない馬だったので、我慢してるのかな?くらいに思っていましたが、今思えば、コレが前兆だったのかなと思います。
 
そうこうしているうちに、レイニングの出番になり、競技開始のアナウンスで名前を呼ばれて、慌てて腹帯を締めなおして馬場に向かいました。
 
前に行きたがるドンちゃんを片手で抑えるのに精一杯で、こんな元気いっぱいのドンちゃんが、このすぐあとに倒れるなんて、この時は想像すらできませんでした。
 
レイニングが終わって待機馬場に入ってからしばらくたったころ、ドンちゃんが突然ハミに全く反応しなくなり、ほかの馬に突っ込んでいきそうになったかと思うと、急に痙攣を起こしはじめました。
 
このままではヤバイと思ったルカはドンちゃんから飛び降りました。
 
「ドンちゃんがおかしい!」
 
大声が待機馬場ら聞こえてきたので、声の方を向くと、ドンちゃんがいななきながら、膝から崩れ落ちていくところでした。
 
ドンちゃんは両膝を地面についたまま、2回立ち上がろうと最後の力を振り絞って足に力を込めていました。
 
馬は立てなくなるとおしまい
 
この言葉が頭をよぎり、なんとかして立たせないと本当に終わってしまうと思ったので、懸命にハミを引っ張って、ドンちゃんを立たせようとしたけど、ドンちゃんは立ち上がることが出来ずに、そのまま斜めに倒れていきました。
 
倒れたとたん、ドンちゃんの反応が急激に鈍くなっていきました。
疲れて横になったと言うより、意識を失ったという感じでしょうか。
 
日中の1番暑い時間帯だった2時過ぎの出来事。
 
熱中症じゃないだろうかということで、鞍とハミをはずしてから、会場内のスタッフやお客さんが総出でバケツリレーをしながらドンちゃんの体を冷やすために水をかけ続けました。
  
その間にも、ドンちゃんの生命反応は回復の兆しを見せるどころか、悪くなる一方。
 
獣医さんに連絡を取るも、最短でも2時間はかかるとの事。
  
自分たちでなんとか乗り越えないといけない。
でも、獣医なしで何が出来る?
 
口の中の血の気も無くなってきて、チアノーゼが見られたので、心臓マッサージも始まりました。
 
おそらくHeart attackだったのだと思います。
でも強心剤は獣医しか扱えませんのでここにはありません。
 
何十人もの方々が、バケツに水を汲んできてはドンちゃんにひたすらかけ続け、全身の体重をかけた心臓マッサージはすぐに疲れるので、何人もの男性が交代順番でドンちゃんの胸を30分以上も押し続けました。
  
途中、2回ほど意識は戻ったと感じましたが、自発呼吸は乏しく、心音は聞こえないまま。
 
弱いながらも自発呼吸はまだあるみたいだけど、本当に虫の息。
心臓が自力で鼓動していないようだったので、心臓マッサージで無理やり肉体を生かそうとしている状態。
 
そんな現状で、もうドンちゃんを助けられないということは、自分も含め、誰しもが薄々わかっていたのだろうけど、誰も口にしないままに、バケツリレーと心臓マッサージが続けられていました。
 
このままでは、周りの人達は誰も手を止められないよね。
 
どこかで生と死の区切りをつけないと。
 
家族が人間の出来ることの限界を受け入れないと。
そして、あとは静かに見送ってあげようよということで、ようやくみんなの手が止められました。
  
残念ながら私達の助かってほしいという思いはとどかずに、私達家族と会場の皆さんが見守る中、彼は旅立ってしまいました。
 
競技会だったということもあり、家族全員が揃っていた時に見送ることができた事がせめてもの救いでした。
 
エバーグリーンでなければ、これだけのことをドンちゃんにしてあげれなかったと思うので、これ以上にない見送りができたと思います。
 
ドンちゃんをファゼンダに連れ帰ることは出来なかったけど、きっと帰ってきてこの日の夕焼けを一緒に見ているはず。 
 
 
生涯現役で競技人生を貫き通したドンちゃん。
 
沢山の人を背に乗せ 馬と人との距離を縮めてくれた彼は、
沢山の人の手を借りて去っていきました。
 
  
Donちゃんらしい最期だったなぁ…と。
 
 
朝、「おーい!」と呼んでも、4頭みんなが顔を出すことはもうないけれども、Fazenda CKの礎を築いてきたドンちゃんのことは、一生忘れないでしょう。
 
最後に、ドンちゃんのために お花や人参などのお供え物を持ってきてくださった方々、温かいお悔やみをくださったみなさま、本当にありがとうございました。
 
ドンちゃんもきっと喜んでくれていると思います。
沢山の人に愛されて、それぞれの思いを背に乗せて。
Rest In Peace Donちゃん。
 
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Comments

Re: タイトルなし

持病を持ちながらのその年齢。
本当に頑張りましたね。
倒れてしまった馬は自分の体重で内臓が圧迫されて、最期は苦しむことになると聞きました。
苦しまないように旅立たしてあげることができて良かったですね。
お互いに沢山の思い出を胸に、前を向いて進んでいきましょう。
ありがとうございました。

> お察しします。私も去年12月に自馬を亡くしました。サラブレッドの26歳、クッシング症候群の持病を持ちながらよく頑張って生きてくれたと思います。最後に起きられなくなったときはクラブのスタッフ総出で一緒に、何とか立たせようとしてくれました。最期は獣医さんに注射をしてもらいましたが、苦しませないように妥当な処置だったと思います。良い思い出だけを胸に持って行きたいと思っています。安らかに。

グレママさん。

ありがとうございます。
生涯現役と言っていたのですが、本当にそうなりました。
本人が一番驚いているのではないでしょうか。
寂しくなりますが、彼のために作ったFazendaで一同、前を向いて進んでいきます。


> 突然のお別れに言葉もありません。
> いつものように競技をしていて、いつものようにみんなに囲まれて…いつものように過ごしている中で旅立ったのですね。
> ドンちゃんは幸せだったと思います。
> ご冥福をお祈りいたします。

お察しします。私も去年12月に自馬を亡くしました。サラブレッドの26歳、クッシング症候群の持病を持ちながらよく頑張って生きてくれたと思います。最後に起きられなくなったときはクラブのスタッフ総出で一緒に、何とか立たせようとしてくれました。最期は獣医さんに注射をしてもらいましたが、苦しませないように妥当な処置だったと思います。良い思い出だけを胸に持って行きたいと思っています。安らかに。

突然のお別れに言葉もありません。
いつものように競技をしていて、いつものようにみんなに囲まれて…いつものように過ごしている中で旅立ったのですね。
ドンちゃんは幸せだったと思います。
ご冥福をお祈りいたします。

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